例年(少なくとも過去数年間)、補助金を伴う補正予算閣議決定の数日後には、中小企業庁から各補助金毎にA4版2ページ程度で、補助金の概要および主な要件等を記載したパンフレットが公表されてきました。
ところが今年は、閣議決定から1週間経過しても、その発表がありません。
以下は、公表されている事実に基づいて考察した筆者の私見ですので、真偽については読者の方のご確認、ご判断でお願いします。
事務方は閣議決定に備えて、例年通り準備を進めてきたものと思われますので、準備ができていないということではなく、現時点では公表できない事情があるのではないでしょうか。
この原因として考えられるのは、「事業再構築補助金」(正確にはその資金源である「中小企業等事業再構築促進基金」)の見直しです。
ここ数年で大きく膨らんだ「基金」および「中小企業等向け補助金」について、今年になってから厳しい意見が噴出しています。特に、金額規模の大きな「事業再構築補助金」(中小企業等事業再構築促進基金)については、名指しで見直しの必要性が指摘されてきています。
2023年10月の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の歳出改革部会では「早期に正常化を求める」との提言がなされました。
また、11月の秋の行政レビューでも、当基金について「コロナ対策に係る部分は廃止し、もしくは抜本的に事業を構築し直すべき」との意見がとりまとめられています。(詳しくは、補助金ナビの記事「「事業再構築補助金」に厳しい意見、報道相次ぐ」参照ください。)
これらの影響を受け、「事業再構築補助金」(中小企業等事業再構築促進基金)について、何らかの見直しを進めているのではないでしょうか。
また、令和5年度補正予算案にて新規に予算計上された「中小企業省力化投資補助事業(補助金)」については、中小企業等事業再構築基金の活用も検討されていることもあり、こちらも基金の見直しを受けている可能性が高いと考えられます。
更に、中小企業省力化投資補助事業が、「省力化投資補助枠(カタログ型)」での補助を計画しているのに対応し、ものづくり補助金に「省力化(オーダーメイド)枠」を新設する予定です。
この為、「事業再構築補助金」(中小企業等事業再構築促進基金)の見直しが、「中小企業省力化投資補助事業」へ影響し、更に、中小企業生産性革命推進事業「ものづくり補助金」にも影響するという関係になっているのではないでしょうか。
それでは、これらは今後どのように進んでゆくのでしょうか?
【筆者の予想】
秋の行政レビューでは、中小企業等事業再構築促進基金に関して、新たな取り組み活用することを全て否定している訳では無いようですので、2024年度新規実施予定の中小企業省力化投資補助事業「省力化投資補助枠(カタログ型)」については、基金からの拠出金額規模の見直しの可能性はあるものの実施され、ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」についても実施されると考えられます。
「事業再構築補助金」そのものについては、行政レビューのとりまとめに、
「モニタリングといった仕組みが確立されない限り新規採択は一旦停止すべきであり、それができない場合は基金として継続する必要は認められない。」
「審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要」
とされていることから、12回公募についてはこれらを整備の上で2023年度内(2024年3月まで)に公募が実施されるのではないでしょうか。但し「審査の厳格化」も求められていることから、実施されたとしても採択率はかなり厳しい結果になる可能性があります。
また、2024年度の事業再構築補助金については、廃止も含めた大きな見直しの可能性があると考えています。
尚、これらは、あくまでも現時点での筆者の私見(予想)ですので、事業再構築補助金の12回公募自体が行われない可能性もあります。補助金申請等についてのご判断は、読者の方ご自身でお願いします。
尚、秋のレビュー 2日目(令和5年11月12日開催)の内容については、動画閲覧や資料のダウンロードができます。
補助金ナビでは、情報を入手次第、「補助金ニュース」「予算・公募前情報」に記載してまいりますので、ご確認ください。
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掲載したニュース等の内容は正確を期すように努めておりますが、その内容について正確性を保証するものではありません。
補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
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