2024年12月6日、経済産業省から令和6年度補正予算案における中小企業・小規模事業者等の関連予算の内訳情報が公表されました。

 この中から、中小企業・小規模事業者向け補助金に関する箇所をピックアップすると以下の通りです。

尚、特に注目したい補助金については、以下の記事にも記載しましたので併せてご覧ください。
 ・中小企業成長加速化補助金が新設
 ・省力化投資補助金にオーダーメイド形式(一般型)が新設

中小企業生産性革命推進事業【3,400 億円(生産性革命推進事業)の内数】

・ものづくり補助金
  製品・サービス高付加価値化枠について従業員区分を見直し、21人以上の中小企業を対象に補助上限を引上げ、賃上げ動向を踏まえ、賃上げ要件、運用等を見直し
  最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を1/2→2/3 に引上げ 等

・IT導入補助金
  セキュリティ枠の補助上限引上げ・要件見直し、汎用ツール・導入後支援の補助対象化
  最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を1/2→2/3 に引上げ 等

・小規模事業者持続化補助金
  経営計画の策定に重点化し、枠の整理等、制度を簡素化(通常枠、創業枠等に再編等)
   
・事業承継・M&A補助金
  PMI(M&A成立後の統合プロセス)を後押しするためのPMI推進枠の創設や、早期承継促進のための枠再編(事業承継促進枠への改変等)、M&A のトラブル防止に資するDD 費用の支援拡充や100億企業創出加速化を図るための補助上限の引上げ

 ⇒(補助金ナビコメント)
 中小企業生産性革命推進事業全体の予算としては、ほぼ前年と同規模の予算となったものの、同予算内に「中小企業成長加速化補助金」(後述)が新設されたことから、各補助金の予算(特にものづくり補助金)は、大きな減少が予想されます。
 尚、ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」は、省力化投資補助金に吸収される可能性が高いと考えられます。

新事業進出補助金の創設【既存基金の活用(1,500億円規模)】

・概要:中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置を創設
・要件 :企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)や賃金要件
・補助対象経費:建物費・機械装置費・システム構築費・技術導入費・専門家経費等

 ⇒(補助金ナビコメント)
 税金の無駄遣いと批判があった「事業再構築補助金」の基金を活用して、新たなスキームで実施するものと見られます。
 要件や補助対象経費を見ると、従来の事業再構築補助金と類似しています。但し、予算額が過去の事業再構築補助金に比べて小さい(当初の事業再構築補助金は、一回の公募時に2000億円程度)ことから、枠や類型は整理減少、公募回数は1,2回、採択率は事業再構築補助金の最終回(26.5%)と同程度となるのではないでしょうか。

 

中小企業成長加速化補助金の創設【3,400 億円(生産性革命推進事業)の内数】

・概要:意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的成長を実現するため、売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資や中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成等)への支援等を創設
・要件 :売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件等
・補助対象経費:建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費

 ⇒(補助金ナビコメント)
 2024/11/22に政府が決定した総合経済対策には「中堅・中小企業の経営基盤の強化・成長の支援」として、「売上高100 億円超の中小企業を創出」および「中小企業の生産性向上と成長を加速」の様々な施策を実施することが記載されていましたが、その一環の施策と思われます。
 新製品・新サービスの開発は、ものづくり補助金や新事業進出補助金による支援となりますが、当補助金は既存事業の拡大による成長にも活用可能な補助金と考えられます。大規模成長投資補助金が投資額10億円以上であることから、当補助金はそれ以下の投資規模でも対象になるものと考えられます。

 中小企業成長加速化補助金については、こちらの記事「中小企業成長加速化補助金が新設」もご覧ください。

省力化投資支援の運用改善(省力化投資補助金)【既存基金の活用(3,000 億円規模)】

 オーダーメイド形式も幅広く対象となる省力化投資支援の新設、カタログ形式の省力化投資支援の運用改善など、全方位型の省力化投資支援へ再編

 ⇒(補助金ナビコメント)
 これまではカタログに登録された汎用製品の導入による省力化に限定されていたが、「一般型」として「個別事業者の事業内容等に合わせた設備導入・システム構築等の省力化」も対象となるということです。これにより、特に製造業等での活用が進むことが想定されます。また、ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」は当補助金に吸収される可能性が高いと考えられます。

 省力化投資補助金の詳細は、こちらの記事「省力化投資補助金にオーダーメイド形式(一般型)が新設」をご覧ください。

【参考資料】

・令和6年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/r6_hosei_point.pdf

・令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/index.html

・経済産業省「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/pdf/r6_pr.pdf

 

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明