2025年11月21日、政府は総合経済対策を閣議決定しました。裏付けとなる令和7年度補正予算の規模は、17.7兆円とされ、これは前年度補正予算13.9兆円を大きく上回る規模です。

総合経済対策は大きく3つの柱から成り立っています。
 第1.生活の安全保障・物価高への対応
 第2.危機管理投資・成長投資による「強い経済」の実現
 第3.防衛力と外交力の強化

 このうち中小企業、小規模事業者への支援策は、主に第1の柱の中の「中小企業・小規模事業者をはじめとする賃上げ環境の整備」に記載されており、この予算額は1兆円とのことです。詳しくは首相官邸の経済対策に関するサイトをご覧ください。

「強い経済」を実現する総合経済対策

 こちらでは、総合経済対策の全文及び、政策に関する説明資料、総理記者会見の内容が公表されています。この総合経済対策の中から、主に中小企業向けの補助金、助成金に関わる箇所について以下に抜粋して紹介します。

賃上げ・物価高対応支援施策(中小企業・小規模事業者向け)

物価高の影響から企業と職場を守り、継続的かつ安定的な賃上げを実現するための環境整備策です。

○業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の業務改善・設備投資に対する支援を強化し、最低賃金の引上げに向けた環境整備を支援

○キャリアアップ助成金:賃上げの裾野を正社員以外にも広げる観点から、非正規雇用労働者の処遇改善等を行う事業者を支援するため、活用を促進

○医療・介護等支援パッケージ:物価・賃金上昇の影響を受けている医療機関、介護施設等の経営改善及び従業員の処遇改善につなげるため、令和8年度報酬改定の効果を前倒しし、賃上げを支援する。また、ICT機器等の導入・活用による生産性向上・職場環境改善の取組を支援

成長投資・生産性向上支援(中堅・中小企業向け)

  「デフレ・コストカット型経済」から「成長型経済」への移行を後押しするため、稼ぐ力を強化するための支援が推進されます。

○中堅企業等大規模成長投資補助金等:地域の産業クラスターの中核となる企業を支援する。売上高100億円への成長目標を掲げる「スケールアップ型企業(100億宣言企業)」の意欲的な投資を実現するため、支援を抜本的に拡充・強化する。

○様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等に対する強力な支援(仮称):事業環境の変化に対応するための成長投資、生産性向上投資、省力化投資等に対して強力な支援を行う。

○「省力化投資促進プラン」の実行:人手不足感の強い12業種(警備業を追加予定)を中心に、省力化投資を促進するための支援策を充実する。

○(米国関税措置による補助金の優先採択・補助率引上げ):米国の追加関税措置の影響を受ける事業者の生産性向上等に資する設備投資を後押しするため、補助金における優先採択や補助率の引上げを行う。

○(「パワーアップ型企業」への支援拡充):地域を支える「パワーアップ型企業」に対して、生産性向上、M&A等に資する設備投資や販路開拓、デジタル化等に対する支援を強化・拡充する

その他の中小企業支援に関連する施策

○取引適正化: 2026年1月施行の中小受託取引適正化法・受託中小企業振興法の周知広報と厳正な執行を徹底し、価格転嫁・取引適正化を後押しする(「中小企業取引対策事業」の実施も含む)。

○伴走支援体制の強化: よろず支援拠点に「生産性向上支援センター(仮称)」を設置するほか、商工会・商工会議所等と連携し、全国で中小企業の賃上げ実現をサポートする体制を整備する。

○事業承継・M&A支援: 譲渡側の不安を解消し、優良な譲受側へのM&Aを促進する。地域金融機関等と連携し、事業承継・引継ぎ支援センターを中心とした支援体制の強化を図る。

補助金ナビでは、国の中小企業向け補助金予算の大部分を占める補正予算の動向を今後も注視し、お伝えしてまいります。

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明