2026年度実施、ものづくり・新事業進出・省力化補助金はどう変わる?2025年度との相違点比較
中小企業庁より、2026年度(令和8年度)実施予定の補助金施策のまとめ資料が公表されました。ものづくり補助金、新事業進出補助金、省力化投資補助金の各補助金は、「事業再構築補助金」の基金を再編し、総額2,960億円予算の中小企業成長投資支援パッケージとして実施されます。
「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金」など、お馴染みの補助金が2026年度にどう進化するのか、2025年度の実施内容と比較しながら、そのポイントを解説します。
尚、ものづくり補助金、新事業進出補助金、省力化投資補助金の各補助金は、2025年12月末現在、2025年度の内容による募集が実施されていますが、2026年4月頃以降の締切分等から、新しい内容での募集に切り替わるものと思われます。
1. 2026年度の大きな潮流:事業再構築から「新事業・省力化」へ
2026年度の最大の変化は、予算の出所と枠組みの統合です。2025年度までは「生産性革命推進事業」などの枠組みで実施されてきましたが、2026年度は「中小企業等事業再構築促進基金」を再編し、以下の2つの柱で運用されることが決まりました。
- ■新事業進出・ものづくり補助金:革新的な開発や、新たな市場への挑戦を支援
- ■中小企業省力化投資補助金:カタログ型と一般型の両面で省力化による人手不足解消を支援
2. 「新事業進出・ものづくり補助金」の変更点
2025年度までは「ものづくり補助金」と「新事業進出促進補助金」は別々の予算枠でしたが、2026年度は一つの事業として整理されます。これにより、企業の成長ステージに合わせた柔軟な選択が可能になります。
また、グローバル枠は、成長の為の海外市場開拓を促進するため、補助上限額が大幅に拡大します。
2025年度 vs 2026年度 比較表
| 項目 | 2025年度(令和7年度) | 2026年度(令和8年度予定) |
|---|---|---|
| 主な枠組み |
・ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠/グローバル枠) |
新事業進出・ものづくり補助金 ・革新的新製品・サービス枠 ・新事業進出枠 ・グローバル枠 |
| 補助上限 | ・製品・サービス高付加価値化枠:最大2,500万円(上乗せ時3,500万) ・グローバル枠:3,000万円(上乗せ時最大4,000万) ・新事業進出促進補助金:最大7,000万円(上乗せ時9,000万) |
・革新的新製品・サービス枠:最大2,500万円(上乗せ時3,500万) ・新事業進出枠:最大7,000万円(上乗せ時9,000万) ・グローバル枠:最大7,000万円(上乗せ時9,000万) |
| 注目ポイント | 再構築補助金からの移行期 | 「海外市場開拓(輸出)」への国内投資支援がより明確化 |
3. 「中小企業省力化投資補助金」の変更点
人手不足に悩む企業にとっての「本命」である省力化補助金。2026年度は特に、小規模事業者向けの「カタログ型」の補助上限が引き上げられる方向です。
カタログ注文型の補助上限額(通常枠)
| 従業員数 | 2025年度(現行) | 2026年度(予定) |
|---|---|---|
| 5人以下 | 200万円 | 500万円(大幅アップ!) |
| 6~20人 | 500万円 | 750万円(引き上げ) |
| 21人以上 | 1,000万円 | 1,000万円(据え置き) |
注目すべきは、5人以下の事業者の上限額が2.5倍(200万→500万)に拡大されている点です。これにより、より高度な清掃ロボットや自動券売機、DX関連機器の導入が検討しやすくなります。
一般型の補助上限額は2025年の公募実施分から変化はありませんが、第5回公募から補助金額1,500万円超の補助率も1,500万円以下と同じ率に引き上げられ、2026年も同様になる予定です。
4. 2026年度に向けて事業者様が準備すべきこと
2026年度の補助金は、これまで以上に「賃上げ」と「付加価値向上」へのコミットメントが求められます。以下の3点について、早めの検討をお勧めします。
- 事業再構築から新事業進出へのシフト:従来の「業態転換」だけでなく、「新市場への進出」や「高付加価値化」を主軸とした事業計画へのアップデートが必要です。
- 省力化投資の早期検討:カタログ型の下限・上限が見直されることで、小規模事業者でも「本当に効果のある高額機器」の導入が可能になります。
- 輸出体制の強化:2026年度計画では「海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化支援」が明記されています。国内生産から海外への販路拡大を狙う企業には大きなチャンスです。
2026年度の補助金制度は、事業再構築補助金の精神を引き継ぎつつ、より「稼ぐ力」を強化する方向へブラッシュアップされています。補助金ナビでは今後も、公募要領等の資料が公表され次第、速やかにお伝えしていきます。
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補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
補助金ナビでは、主に中小企業様向けに経済産業省などの実施する補助金についてご案内しています。
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