小規模事業者持続化補助金は、現在13回公募中です。締切は9月7日です。

2023年4月下旬、小規模事業者持続化補助金の、経営計画書および補助事業計画書の記載例が公開されました。

以前も記載例が公表されていたことがありましたが、今回、2023年度に実施されている小規模事業者持続化補助金に合わせて、ブラッシュアップ、リニューアルし、公開されたようです。

以下の業種の例が公開されています。

・カラオケ店
・割烹料理店
・宿泊業
・板金加工(製造業)
・窯業 ・喫茶店(小売業)旅行業
・旅行業

多くの業種例が公表され、また、内容も以前よりブラッシュアップされたことで、応募を検討されている方にとって、参考になりそうです。

この記載例には、小規模事業者持続化補助金の経営計画書と補助事業計画書に書くべきポイントが記載されています。

この部分をピックアップすると以下の通りです。

○小規模事業者持続化補助金申請書に記載すべきポイント
【経営計画書】

1.企業概要
会社の経営状況、売り上げの状況、顧客の状況、製品やサービスの提供内容など、詳しくお書きください。また 売上げが多 い商 品・ サービス、利益を上げている商品・サービス など をそれぞれ具体的にお書きください。

2.顧客ニーズと市場の動向
お客様(消費者、取引先双方)が求めている商品・サービスがどのようなものか、また自社の提供する商品・サービスについて、競合他社の存在や対象とする顧客層の増減など売上げを左右する環境について、過去から将来の見通しを含めお書きください。

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み
自社や自社の商品・サービスが他社に比べて優れていると思われる点、顧客に評価されている点をお書きください。

4.経営方針・目標と今後のプラン
1~3でお書きになったことを踏まえ、今後どのような経営方針や目標をお持ちか、可能な限り具体的にお書きください。また、方針・目標を達成するためにどのようなプラン(時期と具体的行動)をお持ちかお書きください。

【補助事業計画書】

1.補助事業で行う事業名
本事業のタイトルを簡略にお書きください。

2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取組内容を記入すること)
本事業で取り組む販路開拓などの取り組みについて、何をどのような方法で行うか、具体的にお書きください。その際、これまでの自社・他社の取り組みと異なる点、創意工夫した点、特徴などを具体的にお書きください。 (必ず、Ⅱ.経費明細表にて記載している経費を含めて本事業で取り組む内容をお書きください。)

3. 業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】
公募要領P.35に該当する取組を行う場合は本欄に記入します。特になければ本欄は空欄のままご提出ください。

4.補助事業の効果【必須記入】
本事業を行うことにより、売上げ、取引などにどのような効果があるか可能な限り具体的にお書きください。その際、事業を行うことがその効果に結びつく理由も 併せてお書きください。

○記載例の活用方法について

小規模事業者持続化補助金では、経営計画書と補助事業計画書の両方を合わせて最大8ページ以内とされています。

以前に公表されていた記載例では多くの事例で、実質的に2~3ページ程度の簡素なものが多かったのですが、現在公表されている事例は4~5ページ程度のものが多く、内容も充実してきました。特に、経営計画書の「2.顧客ニーズと市場の動向」および補助事業計画書の「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の記載は充実したものが多く、大いに参考になります

とわ言え、事業計画書(経営計画書、補助金計画書)の内容は各社の状況で大きく異なりますので、自社に近い業種のものを下敷きにして書き直せば良い、というものではありません。

○記載例を参考にする時に注意すべき点
記載例には、一般消費者向けのビジネスなど、ビジネスモデルが分かりやすいものも含まれています。一方、多くの事業では、小規模事業者とはいえビジネスモデルが複雑な事業も多いのも現実ではないでしょうか。

その為、自社のビジネスモデルについて詳しい説明をしないと、事業の構造が伝わらないことも多いように思います。記載が必要なのは、例えば以下のような内容です。

・お客様は誰か、売上利益の源泉は何か?

・同業他社と比べた特徴は?

・集客がすぐに売上につながるのか? そうで無い場合は、集客した上で何をすることもが売上につながるのか?

・なぜ顧客は自社や自社のサービスを選ぶのか?

・売上、販路拡大のために、具体的に何をどのように実行するのか。

・今回の計画により、どのように早期の売上達成、利益確保につながるのか。

そして、販路開拓の取組について、その対策内容と効果についても、事業内容を知らない人には、なかなか理解が難しいことが多いのも事実です。

これらの点を文章として説明していくと、どうしてもある程度の文章量が必要となりますし、読み手の理解を促進するために図表を挿入したり、読み易くするために、段落や項番を付与したりすることも必要となります。この点、記載例を真似して作成するだけではなく。自社の計画を審査員に理解をして貰うための工夫が必要です。

最後になりますが、小規模事業者持続化補助金の審査に関しては次のように言われています。また、私の経験からも同様に考えています。

「審査員は、申請者の事業について必ずしも精通しているとは限りません。」

「事業計画を審査する専門家ではあるものの、当該業務について素人の場合もあります。」

「専門用語、業界用語等は使わずに、中高生でもわかるように、わかり易く書きましょう。」

「審査は短期間、短時間で行われるようですので、簡潔に、読みやすく、わかり易い記述であることが必要です。」

せっかく応募するのであれば、中途半端に妥協をせずに、記述と推敲を繰り返し申請書をブラッシュアップし、採択の確率を高めるように努力をしたいものです。

〇オンラインセミナーもご活用ください。

2023年度実施小規模事業者持続化補助金「申請書の書き方」オンラインセミナー

掲載したニュース等の内容は正確を期すように努めておりますが、その内容について正確性を保証するものではありません。また、筆者の個人的な見解が多く含まれています。補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。 筆者:オフィスマツナガ行政書士事務所 所長 認定経営革新等支援機関 松永敏明

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