令和5年度補正予算案に記載されている中小企業生産性革命推進事業の概要から、2024年・令和6年実施予定の「ものづくり補助金」について、2023年との比較による変更点をみてゆきます。
例年、予算案が閣議決定されますと、すぐに補助金のパンフレット等が公開されてきましたが、今年はまだ公開されていません。例えば、昨年の同時期に閣議決定された令和4年度第2次補正予算では、閣議決定の2日後には、各補助金についてA4で2ページのパンフレットが公表され、補助金の要件等が記載されていました。
今年は、補助金毎のパンフレットがまだ公表されていませんので、具体的な要件等はわかりませんが、公表されている範囲で確認して行きましょう。
○予算規模
中小企業生産性革命推進事業全体で、2000億円(令和4年度2次補正と同額)
○枠・類型
以下の通り、大きな変更がありました。
・「省力化(オーダーメイド)枠」の新設
中小企業の省力化推進のための支援として、別途新設予定の「中小企業省力化投資補助事業(補助金)」では、省力化投資補助枠(カタログ型)として、200万円~1000万円(賃上げ要件達成の場合には、300万円~1500万円)の補助金が予定されています。
こちらは、カタログから選択して導入するのに対して、ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」は、個々の事業者が必要な設備投資をオーダーするということのようです。補助金額も従来のものづくり補助金に比べて大きくなっています。
・枠の整理統合
2023年度実施のものづくり補助金の枠のうち4つの枠(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)は、1つの枠(製品・サービス高付加価値枠)に統合され、2つの類型(通常類型、成長分野進出類型(DX・GX))に整理されます。
これまでのデジタル枠とグリーン枠が統合され、「成長分野進出類型(DX・GX)」と1つになる点については、DX・GXによる新たな分野への進出ということが事業要件になるのかどうかが注目されるところです。
グローバル市場開拓枠は、グローバル枠として存続します。
○補助金額
・新設の「省力化(オーダーメイド)枠」は、750万円~8,000万円とされています。
この下限と上限の間の金額設定が、従来の通り従業員数によるものなのか、別の要件が加わるのかは現時点では不明です。これまでのものづくり補助金の補助上限額を大きく超えるものとなっていますので、省力化の要件とともに、金額設定にどのような要件が適用されるのか注目されます。
・通常類型は、通常枠と同じ、750万円~1,250万円です。
・成長分野進出類型(DX・GX)が1つの類型となり、DXについても補助上限額が前年度の2倍の2500万円となる可能性がある為、この点も注目されます。
・大規模賃上げによる補助金額アップは今年に続き実施され、大幅な賃上げを実施する場合は従業員数に応じて、100万円~1000万円(省力化枠は、2000万円まで)の上乗せがあります。
○補助率
・原則として、中小企業は1/2、小規模事業者・再生事業者は2/3とした上で、成長分野進出類型(DX・GX)は2/3とされています。また、通常類型のうち、新型コロナ回復加速特例の場合は2/3となっています。
・省力化(オーダーメイド)枠の中小企業は、補助金額1500万円までは1/2、それを超える部分は1/3とされています。
【補助金ナビコメント】
・中小企業生産性革命推進事業としての全体予算は昨年と同額とされた中で、ものづくり補助金の各枠について補助上限額の引き上げがされています。補助上限額の引き上げは魅力的ですが、採択率は厳しくなる可能性があります。
・生産性革命推進事業の中で、他の補助金(小規模事業者持続化、IT導入、事業承継・引継ぎ)には大きな変更は無く、ものづくり補助金のみ大きな変更があります。従って、予算配分においては、ものづくり補助金が重視される可能性はあります。
・2024年度、事業再構築補助金は大幅な見直しあるいは廃止の可能性もあるため、改訂されたものづくり補助金に応募が集中する可能性があります。
補助金ナビでは、情報を入手次第、「補助金ニュース」「予算・公募前情報」に記載してまいりますので、ご確認ください。
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補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
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