この記事では、現時点の情報に基づき、2024年実施の「ものづくり補助金」で実施される「製品・サービス高付加価値化枠(通常類型、成長分野進出類型(DX・GX)」について解説します。

中小企業庁より2023年12月6日に公表された「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について(Ver.1.0)」に以下の記載があります。

○ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の概要(R5 年度補正予算)

 現行の枠を見直し、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」に整理統合 するとともに、 今後成長が見込まれる分野( DX ・ GX )は通常枠よりも補助上限額・補助率を引き上げることで支援を重点化

「今後成長が見込まれる分野( DX ・ GX )」と記載され、対象事業分野が特定されるようにも読めますが、現時点での公開情報の範囲では 「DX ・ GX」への取り組みについて幅広に捉えて良いのだろうと考えられます。但し、今後詳細な要件が公表され、対象事業が「成長が見込まれる事業分野」に限定される可能性もあります。

更に「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の主な変更点」に以下の記載があります。

○ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の主な変更点

2.製品・サービス高付加価値化枠の新設等

中小企業・小規模事業者が、付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資等を支援。

今後成長が見込まれる分野(DX ・ GX )は 成長分野進出類型 とし、通常類型よりも 補助上限額・補助率において重点支援

・コロナからの回復を図りつつ、最低賃金の引き上げにも取り組む事業者を通常類型よりも補助率を引き上げて支援 。

⇒枠の名称は「製品・サービス高付加価値化枠」であり、「付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組む」とされています。2023年までに実施されたものづくり補助金の対象事業要件に記載のあった「生産プロセス・サービス提供方法の改善」という表現がありません。製品・サービス高付加価値化枠の2つの類型(通常類型、成長分野進出類型(DX ・ GX ))は、「新製品・新サービスの開発」に限定される可能がありますが、この点は、公募要領でどのように記載されるのか、注目されるところです。

以下、類型別の詳細を確認してゆきましょう。

○通常類型

【2024年度・令和6年度】令和5年度補正予算 ものづくり補助金

従業員数毎の補助上限額が公表されました。

⇒ こちらは2023年実施のものづくり補助金から変更はありません。

対象事業が「革新的な製品・サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援」と記載されています。

⇒ 前述の通り「生産プロセス・サービス提供方法の改善」という表現がありませんので、「方法の改善」が対象にならない可能性があります。活用イメージも高精度の製品開発の例のみ記載されています。

○成長分野進出類型(DX・GX)

【2024年度・令和6年度】令和5年度補正予算 ものづくり補助金

従業員数毎の補助上限額が公表されました。

⇒ DXとGXでは、補助上限額が統一されています。DXについては、2023年実施ものづくり補助金のデジタル枠から補助上限額が増加しています。

 対象事業が「今後成長が見込まれる分野(DX ・ GX )に資する革新的な製品・サービス開発 の取り組みに必要な設備・システム投資等を支援」と記載され、注記に「革新的な製品・サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的に、導入した設備・システムを用いて、自社の技術力等を活かして製品・サービスを開発することをいう。単に設備・システムを導入するにとどまり、製品・サービスの開発を伴わないものは該当しない。」とあります。

⇒ 類型名称が「成長分野進出類型(DX・GX)」と「新製品・新サービス」を前提とするものと考えられ、かつ、通常類型と同様に「生産プロセス・サービス提供方法の改善」という表現がなく、更に注記も「革新的な製品・サービス開発」についてのみ記載されていることから、「成長分野進出類型(DX・GX)」では「方法の改善」は対象事業とならない可能性が高いと考えます。また、活用イメージも高度な試作開発の例のみ記載されています。

公募要領には、製品・サービス高付加価値化枠の対象事業が、どのように記載されるのか、大いに注目されます。

掲載したニュース等の内容は正確を期すように努めておりますが、その内容について正確性を保証するものではありません。
補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明