2024年11月22日、政府は総合経済対策を閣議決定しました。この内容から、令和6年度補正予算および2025年実施の中小企業等向け補助金について考えてみましょう。

 総合経済対策の裏付けとなる2024年度補正予算案の一般会計からの支出は13.9兆円となり、昨年度を上回る規模となります。

 以下、閣議決定された総合経済対策の内容および、令和6年度補正予算に関する政府発表および日本経済新聞の報道です。

○経済対策を決定、非課税世帯に3万円 補正予算13.9兆円 (日本経済新聞 2024年11月22日 18:45更新)

 政府は22日の臨時閣議で総合経済対策を決めた。経済対策は、日本経済・地方経済の裏付けとなる2024年度補正予算案の一般会計からの支出は13.9兆円となる。

○経済対策の要旨 政府が閣議決定 (日本経済新聞 2024年11月22日 20:22)

○経済対策、閣議決定の発表資料(令和6年11月22日 内閣府発表)

 「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」

経済対策は、以下の3節から成り立っています。
 第1節 日本経済・地方経済の成長
  ~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~
 第2節 物価高の克服
  ~誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつける~
 第3節 国民の安心・安全の確保
  ~成長型経済への移行の礎を築く~

総合経済対策に記載のある中小企業等向けの補助金

 中小企業等向けの補助金に関しては、総合経済対策のP.8に以下の記載があります。

(3)省力化・デジタル化投資の促進
 中小企業生産性革命推進事業を更に充実する。

 人手不足が深刻化する中、省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入に加え、業務に応じたソフトウェアの簡易な選択及び導入を支援する。その際、生産現場のみならず、会計事務等を効率化するためのIT化も支援するとともに、導入後のサポート支援も行う。

 事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援する。

 人手不足感の強い業種について、各事業所管省庁が、それらの業種に属する事業者の省力化投資を促進するための具体的プランを早急に策定する。

 地方においても賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業が工場等の拠点を新設する場合や大規模な設備投資を行う場合についても支援を行う。

 地域への産業立地を推進するため、地域未来投資促進法14等を活用した設備投資や産業用地確保を促進する。

この為の施策例として以下の記載があります。

・中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等の一体的な支援(経済産業省)
・中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(経済産業省)

 また、同時に発表された総合経済対策~政策ファイル~には、IT導入補助金、ものづくり補助金に関する記載があります。

総合経済対策から読み取る2025年実施中小企業等向け補助金,令和6年度補正予算

総合経済対策~政策ファイル~(政策内容を図示しています)

 以上より、令和6年度の補正予算および基金による2025年実施の中小企業等向けの補助金について、以下の通り想定されます。

2025年実施中小企業等向け補助金の想定される動向

・中小企業生産性革命推進事業
 前年度並みの予算規模により、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継補助金が継続して実施される。賃上げに取り組む企業や、最低賃金に近い賃金水準で働いている従業員比率が高い企業の支援が強化される。

・中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
 令和5年度補正予算にて3000億円の確保が明記されており、2025年も前年度と同様の1000億円で継続。

・中小企業省力化投資補助金(カタログ型)
 令和5年度補正予算および事業再構築基金にて合計5000億円が確保され、令和8年度までの実施が公表されていることから、2025年度も継続実施。カテゴリが徐々に追加されつつあるため、使い勝手の向上が期待される。

補助金の予算規模および要件等の概要公表時期

また、令和6年11月22日の内閣官房長官記者会見にて、令和6年度補正予算編成について、11月29日(金)に令和6年度補正予算の概算閣議を予定している旨の発言がありました。

 概算閣議とは、早急な処理を要する案件で、電話連絡等により行われる閣議のことですので、11月29日(金)に令和6年度補正予算の閣議決定が行われ、この時点で、2025年に実施される各補助金の予算規模および要件等の概要が公表される可能性が高いと考えられます。

この閣議決定後に公表される情報に注目しましょう。

令和6年度補正予算は、今月、11月28日(木)に召集予定の臨時国会で審議されます。会期は12月21日までの24日間とされていますので、この間に補正予算が成立するものと考えられます。

昨年は、閣議決定が2023年11月2日、補正予算成立が2023年11月29日でしたので、昨年に比べて約1ヵ月遅い日程となっています。

令和6年度補正予算にて実施される補助金のスケジュールについては、閣議決定後の公表を見て、予想をしてみたいと考えています。ご期待ください。

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明