令和6年度補正予算、中小企業生産性革命推進事業により実施されている、ものづくり補助金、IT導入補助金の採択率が低い状態が続いています。

 中小企業生産性革命推進事業の全体予算額は、前年度とほぼ同額の3,400億円ですが、今年度はこの予算の中で、中小企業成長加速化補助金(売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資)が実施されています。補助上限額5億円というとても大きな補助金に予算を割いている影響により、従来実施してきた他の補助金の予算が減少しているものと考えられます。

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の採択率の推移

 ○2023年11月締切
  ・通常枠   申請件数:3,846、採択件数:1,967、採択率:51.1%
  ・デジタル枠 申請件数:1,209、採択件数: 561、採択率:46.4%

 ○2024年3月締切
  ・製品・サービス高付加価値化枠 
     申請件数:5,015、採択件数:1,827、採択率:36.4%

 ○2025年4月締切
  ・製品・サービス高付加価値化枠 
     申請件数:5,025、採択件数:1,623、採択率:32.3%

 ○2025年7月締切
  ・製品・サービス高付加価値化枠 
     申請件数:2,276、採択件数:784、採択率:34.4%

※省力化(オーダーメイド枠)は、2025年は省力化投資補助金(一般型)として、別予算(事業再構築補助金用基金)で実施されています。

補助金ナビコメント 
 ⇒ 2025年7月締切では、前回締切に比べ申請件数が半減しました。前回締切への応募者は申請不可であったことに加え、賃上げ必須や採択率の低下傾向等も影響していると思われます。応募者数が減少しても、採択率は引き続き30%台前半でしたので、次回以降も同様の傾向が想定されます。

小規模事業者持続化補助金の採択率の推移

○2023年12月締切
  ・一般型 申請件数:13,597、採択件数:8,497、採択率:62.5%

○2024年3月締切
  ・一般型 申請件数:13,336、採択件数:5,580、採択率:41.8%

○2024年5月締切
  ・一般型 申請件数: 7,371、採択件数:2,741、採択率:37.2%

○2025年6月締切
  ・一般型<通常枠> 申請件数: 23,365、採択件数:11,928、採択率:51.1%

補助金ナビコメント 
 ⇒ 2024年度実施分に比べて採択率が上昇し50%を超えましたが、51%といういう採択率は、過去の小規模事業者持続化補助金と比べて決して高い採択率ではありません。また、この補助金は、商工会や商工会議所の相談員による支援を受けての応募ですので、事業計画の内容は一定の水準を保っているものと考えられます。この中で、2人に1人という率は、結構厳しい確率であると考えた方が良いでしょう。
 従って、事業計画を十分にブラッシュアップされるとともに、獲得可能な加点については必ず取得されて応募されることを強くお奨めします。

IT導入補助金の採択率の推移

○IT導入補助金2023
  ・通常枠(A類型):1次~10次締切の間、72%~78%
  ・通常枠(B類型):1次~10次締切の間、55%~68%
  ・デジタル化基盤導入類型:1次~17次締切の間、63%~82%

○IT導入補助金2024
  ・通常枠:1次~6次締切の間、75%~80%
       7次 26.1%
  ・インボイス対応類型:1次~11次締切の間、90%~96%
       12次 10.6%

○IT導入補助金2025
  ・通常枠 1次:50.7%、2次:41.2%、3次:30.4%、4次:34.1%
  ・インボイス対応類型 1次:57.6%、2次:47.2%、3次:40.5%、4次:43.3%

補助金ナビコメント 
 ⇒ 中小企業生産性革命推進事業全体の予算枠の成約により、7次(12月2日)締切まで、通常枠30%台、インボイス対応類型40%台が続くものと想定されます。

中小企業成長加速化補助金の採択結果

○2025年6月締切
  ・応募件数:1,270、採択件数(追加発表を含む):211、採択率:16.6%

補助金ナビコメント 
 ⇒ 中小企業成長加速化補助金より一回り大きなサイズの補助金の「中堅・中小成長投資補助金」(投資規模:10億円以上、補助上限額50億円)の今年度公募分の採択率が50%以上となっていることから、当補助金の採択率も高いのではと、期待をされた方も多かったと思いますが、こちらは非常に厳しい採択率となりました。
 当補助金は、投資規模が1億円以上、補助上限額5億円と、中小企業にとってチャレンジし易いレンジにあるため、想定よりも応募が多かったとも考えられます。
 尚、当補助金は、今回分でほぼ予算に到達したものと思われますので、令和6年度補正予算による次回公募は見送となる可能性が高いと考えられます。
 当補助金の採択結果について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金への応募申請を予定されている事業者様は、事業計画を十分にブラッシュアップされるとともに、獲得可能な加点については必ず取得されて応募されることと強くお奨めします。

 IT導入補助金へ応募される事業者様は、IT導入支援事業者との連携を高め、補助金で導入するITツールの活用について計画を練り、より生産性を高める計画策定が求められます。

 

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明