2025年11月21日に公表された総合経済対策によって、2026年度に実施される経済産業省の中小企業・中堅企業向け補助金はどのように変わるのか、予想してみます。
尚、当記事は、あくまでも現時点の情報に基づく筆者の個人的な見解であり、内容の正確性について保証できるものではございません。情報の活用については、読者様ご自身の責任でお願いいたします。
総合経済対策における、中小企業・中堅企業向け補助金関連施策のポイント
総合経済対策では、中小企業・中堅企業向け補助金につながる施策として、大きくは以下の2つを打ち出している。
○「省力化投資促進プラン」による生産性向上 :
人手不足が事業継続のボトルネックとなっている12業種(飲食、宿泊、建設、物流、介護など)に加え、新たに警備業を追加した重点分野に対し、「省力化投資促進プラン」が実行される。 このプランの中核をなすのが「カタログ型」の省力化投資補助金である。
○企業フェーズに応じた重層的な支援体系:
企業の成長ステージや志向性に応じて、支援対象を「スケールアップ型企業」と「パワーアップ型企業」に類型化し、それぞれのニーズに合致した施策を展開する戦略を打ち出している。
・スケールアップ型企業と「100億宣言企業」:
地域経済のハブとなり、グローバル市場ともつながる潜在力を持つ中堅・中小企業を「スケールアップ型企業」と位置づけられている。特に、売上高100億円への成長を目指す「100億宣言企業」に対しては、意欲的な投資を実現するための抜本的な支援強化が行われる。これに関連して、「中堅企業等大規模成長投資補助金」の活用が想定される。
・パワーアップ型企業と基盤強化:
一方、地域社会の生活基盤やサプライチェーンを支える中小企業・小規模事業者等は「パワーアップ型企業」と位置づけられる。これらの企業に対しては、急激な成長よりも持続的な経営基盤の強化(生産性向上、デジタル化、販路開拓)を重視した支援が行われる。「様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等に対する強力な支援(仮称)」として、事業環境の変化に対応するための成長投資、生産性向上投資、省力化投資等に対して強力な支援を行うとされている。
上に記載した施策のポイントを基に、2025年度実施補助金がどのように変化するか考えてみましょう。以下の資料は、2024年度補正予算に関連し、2025年度に実施された(されている)経済産業省の補助金についての説明資料です。

この資料に記載されている補助金が、2026年度はどのようになるか予想してみます。
2025年度実施済/実施中の補助金は、2026年度はどのように変わるか?
○ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金:
⇒ パワーアップ型企業向け補助金として、「様々な事業環境変化に対応するための成長ステージに応じた中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等に対する強力な支援(仮称)」として実施されるものと考えられます。ものづくり補助金については、名称等変更の可能性もあります。
○新事業進出補助金:
⇒ 事業再構築補助金の基金残高を再編して2025年度に実施されたものであり、4回程度の公募が公表されています。従って、2025年度内に終了の可能性が高いと考えています。
尚、この補助金では電子申請時に極めて多くの項目を画面から入力するようになっています。また、参考資料として提示されている事業計画書書式も非常に細かい丁寧な作りとなっており、事業者自身による事業計画作成を強く後押しするものとなっています。 今後の中小企業向け補助金の申請方法の一つの方向性を示しているものともみられます。
○中小企業成長加速化補助金:
⇒ 売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資を支援するものとして、2025年度に初めて実施されました。投資額が1億円以上、補助上限額5億円と非常に使い勝手が良い補助金として人気化し多くの応募がありました。
しかしながらこの補助金は、ものづくり補助金などと同様に、中小企業生産性革命推進事業の予算の中で行われ、予算の制約から採択者数が限定され、採択率も16%台という極めて厳しい結果となりました。 当初、この補助金は複数回の公募が想定されていたようですが、結果として1回の公募で2025年度は終了するようです。
2026年度はこの中小企業成長加速化補助金は、スケールアップ型企業向け支援として、パワーアップ型企業向け補助金とは別の予算枠で 位置づけられるものと思われます。
○中堅・中小成長投資補助金:
⇒ 2024年度(2023年度補正予算)から実施されている、投資額10億円以上、補助上限額50億円という大きな補助金です。 2024年度補正予算では、1400億円の予算を確保した上で、3年間で3000億円の予算確保が予定されています。2024年度は採択率14%台という厳しい結果でしたが、2025年度は2回とも50%以上の非常に高い採択率という結果になりました。 この補助金は、2026年度も実施され、スケールアップ型企業向け支援の中心施策として、上に記載した中小企業成長加速化補助金と合わせて実施され るものと思われます。
○省力化投資補助金 :
⇒ 事業再構築補助金の基金残高を再編して2045年度から実施されています。当初はカタログ型のみが実施され、2026年度末までの実施が公表されていました。開始直後は登録カテゴリおよび製品数の少なさから活用度合が低い状態が続いていましたが、採択率が高いことから最近は人気化しています。また、2025年度からは一般型も併せて実施されています。
総合経済対策に記載されている「省力化投資促進プラン」の中核施策として、特にカタログ型が強化して実施されるものと思われます。一般型についてはパワーアップ型企業向け補助金として整理・統合される可能性があります。
補助金ナビでは、国の中小企業向け補助金予算の大部分を占める補正予算の動向を今後も注視し、お伝えしてまいります。
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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
補助金ナビでは、主に中小企業様向けに経済産業省などの実施する補助金についてご案内しています。
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