省力化投資補助金第5回公募解説、第2回のテーマは「道を誤らない補助金獲得作戦 〜採択を勝ち取る『設計図』の作り方〜」です。

前回は、この補助金の審査は「試験」であることと、単なる機械購入の支援ではないことをお伝えしました。
今回は、その試験に合格(採択)するための具体的な戦略、すなわち「事業計画の設計図」の描き方について解説します。

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採択を遠ざける「3つのNG行動」

多くの事業者が陥りがちな、不採択に直結する典型的な間違いがあります。まずはこれらを避けることが重要です。

  • NG 1 いきなりパソコンで文章を書き始める
  • NG 2 業者のテンプレート(雛形)をそのまま使う
  • NG 3 「文章(ストーリー)」と「数値(根拠)」が一致しない

特に3つ目は致命的です。定性的なストーリーと、省力化指数や投資回収期間などの計算根拠が矛盾している計画書は、審査員に見抜かれます。

採択への最短ルート「設計図」の4ステップ

いきなり申請書を書くのではなく、まずは事業の全体像を整理した「設計図(骨子)」を作成しましょう。
一貫性のある論理的なストーリーを作るための4つのステップをご紹介します。

STEP 1:現状分析(As-Is)

SWOT分析等を用いて、自社の「弱み」を明確にします。
単に「人手不足」とするのではなく、「どの工程の、どの作業がボトルネックとなり、経営を阻害しているか」を具体的に特定します。
(例:熟練工への依存、手作業による生産律速など)

STEP 2:課題特定(To-Be)とリソース再配置

ここが重要です。省力化して「楽になりました」で終わらせてはいけません。
「省力化によって浮いた人員や時間を、どの高付加価値業務に再配置するか」を描きます。
営業強化による売上増や、新商品開発など、攻めの経営へ転換するストーリーが必要です。

STEP 3:設備導入(How)

特定したボトルネックを解消するために、どのような設備が必要かを定義します。
「一般型」では、既製品のポン付けではなく、自社の課題に合わせたオーダーメイドの設備やシステム構築である必要があります。

STEP 4:数値計画と付加価値創出(Value)

最後に、これらを数値で裏付けます。特に重要なのは以下の2点です。

数値計画の最重要ポイント

① 省力化指数
「なんとなく早くなる」はNGです。ストップウォッチ等による実測データ(タイムスタディ)に基づき、「工程Aが300分から30分へ、90%削減」といった具体的な証明が必須です。

② 賃上げ 3.5%の根拠
第5回からの絶対条件である「1人当たり年平均3.5%以上」の賃上げ。これを実現するための原資を、生産性向上によってどう生み出すか、論理的に説明できなければなりません。

申請実務の落とし穴

計画書が完璧でも、実務的な手続きで躓くと全てが無駄になります。特に以下の点には注意が必要です。

  • GビズIDプライムの取得:発行まで2〜3週間かかります。未取得の方は今すぐ手続きを。
  • 詳細な見積もり:「一式」見積もりは原則NGです。内訳が明確なものを取得してください。
  • 口頭審査への備え:一定額以上の申請ではオンライン面談があります。コンサル同席不可のため、経営者自身が計画を語れるようにしておく必要があります。

第2回のまとめ

採択を勝ち取るためのポイントは以下の通りです。

1. いきなり書かず、「設計図」で論理の一貫性を作る。

2. 「文章」と「数値」を完全に一致させ、矛盾をなくす。

3. 経営者が主体となって未来を描く(丸投げしない)。

次回、最終回となる第3回では、意外と知られていない「採択後のリスク」について解説します。
採択はゴールではなくスタートです。補助金を確実に受け取り、返還リスクを回避するための管理実務についてお話しします。

次回予告

第3回「採択後にやるべきこと 〜間違えると補助金がフイに!?管理実務の現実〜」

交付申請、実績報告、そして5年間の事業化状況報告。採択後の事務負担とリスクを正しく理解し、備えましょう。

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明