省力化投資補助金第5回公募解説、最終回となる第3回のテーマは「採択後にやるべきこと 〜間違えると補助金がフイに?管理事務の現実〜」です。

「採択通知が来たら、すぐ機械を発注できる」
「お金はすぐに入ってくる」

もしそう思われているとしたら、非常に危険です。
採択はあくまで「候補者」に選ばれただけであり、ゴールではありません。むしろ、ここからが本当の「試験」の始まりなのです。

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採択直後の「勘違い」が命取りに

採択通知を受け取った時点では、受給額は「0円」です。まだ1円も確定していません。
ここで絶対にやってはいけない「鉄則」があります。

【絶対厳守】交付決定前の発注・契約は禁止

事務局から届く「交付決定通知書」の日付より前に、契約・発注・支払いを行った経費は、理由を問わず一切補助対象になりません。

「見切り発車」は全額自己負担(補助金ゼロ)を意味します。

また、採択された事業者には、速やかに事務局指定の「研修動画の視聴」と「確認テストの修了」が義務付けられています。
この修了証がなければ、次の手続き(交付申請)に進むことすらできません。

「厳格すぎる」事務手続きのリアル

補助金を受け取るためには、通常の商取引よりも遥かに厳しいルールを守る必要があります。

1. 支払いは「銀行振込」のみ

現金、手形、小切手、クレジットカード払い、相殺決済などは原則認められません。
銀行振込の控え(振込金受取書等)が、支払いを証明する唯一の証拠となります。

2. 証憑書類の完全管理

以下のフロー通りに書類を完備し、日付の整合性が取れている必要があります。

見積書 → 発注書(契約書) → 納品書 → 検収書 → 請求書 → 振込明細書

3. 計画変更は「事前承認」が必須

設備の型番が変わる、納品が遅れる等の変更がある場合、必ず「事前」に承認を得なければなりません。事後報告は認められず、補助金が支払われない原因になります。

本当の試験はここから:5年間の義務と返還リスク

無事に補助金が入金されても、終わりではありません。
事業終了後5年間、毎年4月に「効果報告(事業化状況報告)」を行う義務があります。

特に第5回公募からは、以下のルールが非常に厳格化されています。

第5回の最重要警戒点:賃上げ未達による返還

「1人当たり給与支給総額」を年平均3.5%以上増加させる。

この目標が未達成の場合、達成度合いに応じて補助金の一部返還を命じられます。

従業員数を増やして総額をごまかす手法は通用しません。本気で生産性を上げ、賃上げ原資を稼ぎ続ける経営力が問われます。

その他の「善管注意義務」

  • 保険加入:導入設備に対し、付保割合50%以上の損害保険加入が必須です。
  • 財産処分制限:5年間は、事務局の承認なしに設備を売却・廃棄・貸付・転用できません(無断で行うと全額返還)。

第3回のまとめ

省力化投資補助金は、採択されてからが本番です。

1. 交付決定前の発注は厳禁。

2. 5年間の賃上げ目標は「絶対コミット」。未達なら返還。

3. 補助金をきっかけに、社内の管理体制を強化する。

全3回にわたり解説してまいりましたが、この補助金は「筋肉質な企業体質」へ変わるための強力な武器です。
リスクとルールを正しく理解し、ぜひ自社の成長に役立ててください。

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)

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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明