「ものづくり補助金」申請WEB講座(平成31年実施)
第8回 意外と知られていない補助金事務について
~「ものづくり補助金」採択率を高める事業計画/申請書の書き方~
今回は、補助事業期間中の補助金事務、証拠書類についてです。
「そんなこと、採択を受けてからゆっくり考えれば良いのでは?」と思われた方、いらっしゃると思います。 実は、私もかつてはそう思っていました。
ですが、補助期間中の事務作業の負担についても、応募する前に理解しておくことが大切です。
私は行政書士(認定支援機関)であるとともに小規模企業の経営者でもあり、自ら経営する会社でも、平成28年度補正予算ものづくり補助金をはじめ、何度か補助金の採択を受けています。その私が補助事業を実施した経験の中で、応募申請時に良く知っておくべきだと痛感したのはこの補助事業期間中の事務についてです。
ものづくり補助金の採択を受け、補助金の交付決定により補助金額が確定すると、補助事業が開始となります。補助事業の実施とともに、補助事業期間中に大切なのは証拠書類の整理・保存です。
証拠書類というと「領収書や振込明細を保存して置けば良いのですよね。」と、思われる方が多い様ですが、それだけではありません。
お金のやり取りを示す見積書、請求書、領収書(振込明細)といった書類以外に、採択を受けたものづくり補助金の事業計画書に書かれた事業計画を実行したという証拠書類が必要になります。
例えば、機械装置費であれば、当該機械装置導入時や稼動状態の写真、原材料費であれば、購入した使用した原材料の状況を時系列に記録した受払簿、 委託費の場合は、委託内容を書いた仕様書や成果物の写真 等です。
これらの証拠書類を補助事業以外の事業の物とは明確に区分して整理をした上で、補助事業終了後に報告書とともに提出して検査を受け、補助事業の経費と認められた時に、初めて補助金を請求することができます。
私の会社では十数年前に初めて補助金の採択を受けた際、補助事業の実施に注力した結果、補助事業期間中にはお金の流れ以外の証拠書類の整理まで手が回らず、終了後に事務作業が溜まってしまい、また、証拠書類の不備により予定通りの補助金が得られないなど、痛い思いをしました。
それ以降、補助金の申請時から補助事業期間中の事務作業のことも考慮し、以下のことを心掛けています。
・申請時から事務作業負担に配慮し、少額で件数が多い支出は対象経費としない。
・補助事務期間中の補助金区分経理や、報告書作成事務、証拠書類整備の為の事務負担も考慮した計画を作る。
皆さんも証拠書類の整理や補助事業期間中の事務負担についても、十分に理解した上で申請をしましょう。
補助事業期間中の事務処理については、実際に補助金事務を経験した事業者に報告書や証拠書類を見せて貰うと実感できます。また、補助金事務にも詳しい認定支援機関に相談したいものです。
以上です。
筆者:認定支援機関 オフィスマツナガ行政書士事務所 所長・行政書士 松永敏明
本講座の内容は正確を期すように努めておりますが、内容について正確性を保証するものではありません。
補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
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