2021年実施「ものづくり補助金」低感染リスク型ビジネス枠(新特別枠)の応募準備
2021年1月18日、通常国会が招集されました。
当国会にて、予算に関しては、令和三年度予算、および令和二年度第3次補正予算他が審議されています。
補助金ナビでは、令和二年度第3次補正予算で実施される中小企業支援施策の一つ、「ものづくり補助金」の「低感染リスク型ビジネス枠」に注目しています。
ものづくり補助金の申請に関する準備時間は、ものづくり補助金ポータルサイトのデータによれば、平均約70時間となっています。
筆者は、会社経営をしつつ、多くの事業者様の事業実施をご支援しており、ものづくり補助金については、自ら事業者として申請採択を受けた経験と、支援者として数多くの申請支援を行って来ています。ものづくり補助金の平均的な準備期間は、感覚ですが、実際に作成に取り掛かってから完成まで約30日です。
ものづくり補助金の申請準備に十分な時間をかけ、事業計画と申請書をブラッシュアップすることで採択確率を高めることができるというのが筆者の実感です。
そこで、この記事では「ものづくり補助金」の「低感染リスク型ビジネス枠」の公募開始に向けて、その具体的な準備方法についてご紹介します。
尚、こちらの記事には、筆者の個人的見解が多く含まれており、筆者および補助金ナビ運営会社は、内容の正確性や結果を保証するものではなく、この記事が及ぼす影響について何ら責任を負うものではないことを予め申し上げておきます。
○2020年実施された「ものづくり補助金」について
昨年の通常国会で承認された令和元年度補正予算、令和二年度補正予算および、当該予算によるものづくり補助金の実施は以下の日程でした。
・2020年 1月20日国会召集
・1月28日 令和元年度補正予算成立
・3月10日 ものづくり補助金公募開始(通常枠のみ:1次締切 3月31日)
・4月7日 令和2年度補正予算 閣議決定
・4月10日 ものづくり補助の特別枠に関する公募要領公開(2次締切 5月22日)
・4月29日 令和2年度補正予算成立
2020年の1月から5月は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、また、その拡大防止と様々な支援策が実施された為、ものづくり補助金の公募に関しても、公募日程、支援内容、応募要件等が、急遽行われることが相続きました。
ものづくり補助金は、令和元年度補正予算により実施されている基金により、通常枠として、2020年度~2022年度の3年間、概ね3ヶ月毎に公募が実施されることが、決まって実施されていますが、2020年はこれに加えて令和二年度補正予算により、一定要件を満たせば、補助率がアップし、また、感染防止費用が一定枠内で全額補助される「特別枠」が実施されました。
令和2年(2020年)実施の、ものづくり補助金を初めとした中小企業・小規模事業者向け主要補助金の応募、採択状況等については、以下の記事をご覧ください。
「令和2年(2020年)中小企業・小規模事業者向け主要補助金」の実績をまとめました
○2021年実施予定の「ものづくり補助金」について
2021年は、令和二年度第3次補正予算により、ものづくり補助金には、低感染リクス型ビジネス枠(新特別枠)の実施が予定されています。
経済産業省公表のPR資料によれば、2020年実施の特別枠に対して要件、補助率を一部改訂した上で、予算枠を拡大して実施される予定です。
この枠組みは、2020年に実施された、通常枠+特別枠と同じですので、2020年の特別枠実施の経緯から推察すると、令和二年度第3次補正予算が国会で承認され次第、早い日程で速やかに実施される可能性があります。
例えば、以下の日程での実施されることが想定されます(あくまでも筆者が、その可能性を推定したものです。)。
・2021年1月18日 国会召集
・同 1月27日~31日 令和2年度第3次補正予算成立
・同 2月中旬 第1次公募開始
・(早ければ、3月中に第1次締切の可能性)
○2021年実施予定「ものづくり補助金」申請に向けた準備について
初回の公募期間がこのような短期間になるのかどうかは分かりませんが、過去、初回の公募の締め切りが非常に短期間で実施されたことが多くありましたので、そのような事態も想定しておいた方が良いと考えます。
そのため、補助金ナビでは、2021年実施のものづくり補助金の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)に応募を予定されている事業者様には、早期に準備を開始されることをお勧めしています。
公募開始前の準備については、多くの方から、「公募要領」や「応募書式」が公表されていない状態で準備をしても、無駄になってしまうのでは? とのご意見をいただきますが、そのようなことはありません。
ものづくり補助金は、過去10年近く実施されていますが、その間、多少の要件変更、審査項目や記載内容の変更追加はありましたが、記載内容の大半(私は9割近いと思っています)は、前年と同じです。特にものづくり補助金の審査における最大のポイントの「革新性」については、ものづくり補助金の枠組みが固まってからはほとんど変更されずに実施しています。
そこで、2021年実施ものづくり補助金の準備としては、2020年実施のものづくり補助金の公募要領、応募書式を前提に、2021年実施に際して判明している事項を考慮して申請書づくりを行いましょう。
通常枠は、2020年度から2022年度までの3年間はほぼ変更はないでしょう。新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)について、申請書作成に関して現時点で判明している2020年実施「特別枠」との違いは以下の通りです。
1)付加価値向上の期間(付加価値額向上率の達成目標期間を、事業終了後「3~5年」から「4年以内」に変更)
2)補助率(「2/3あるいは3/4」を「2/3」に)
3)事業再開枠の廃止
4)特別枠要件の変更/統一
2020年実施の特別枠のA類型(サプライチェーンの毀損への対応)、C類型(テレワーク環境の整備)を廃止した上で、B類型の要件を多少変更。
2020年のB類型は、「非対面型ビジネスモデルへの転換(非対面・遠隔でサービスを提供するビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと)」でした。これが「対面接触機会の減少に資する、製品開発、サービス開発、生産プロセスの改善に必要な設備投資、システム構築等」とされています。
上に記載した、4つのポイントのうち、1)~3)は、目標数値、や金額に関する物ですので、ものづくり補助金申請作業の大半の時間を占める事業の具体的な内容「その1(補助事業の具体的取組内容)」、「その2(将来の展望)」には直接的には影響はありません。従って、現時点での準備は、4)のポイントのみ考慮の上で、2020年実施のものづくり補助金(特別枠)を前提に準備を進めれば良いことになります。
○2021年実施「ものづくり補助金」低感染リクス型ビジネス枠(新特別枠)の申請準備方法
ものづくり補助金の申請準備に際しては、筆者は以下の手順で実施することをお勧めしています。
1)公募要領や申請書式から、審査項目、記載すべき内容を抽出し、審査時に求められている記載内容を書き出す。(審査を試験の採点に例えると、設問と解答用紙を作成する作業です。)
2)ご自身の事業計画を明確にする。その際に、もの作り補助金の審査の最大のポイントである「革新性」について訴求ポイントを明確にする。
(革新性については、こちらの解説「ものづくり補助金 よくある質問&ご相談 No.2」をご確認ください。)
3)どの事業分野に該当するのかを考える。
「新商品(試作品)開発」、「新たな生産方式の導入」、「新役務(サービス)の開発」、「新たな提供方式の導入」
4)その上で、「新商品(試作品)開発」、「新たな生産方式の導入」の場合には、「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」のどの分野のどの技術課題に該当するのか、「新役務(サービス)の開発」、「新たな提供方式の導入」の場合には、「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」のどの項目により、付加価値の向上や効率化を図るのかを検討、ポイントを書き出す。
5)以上を踏まえて、申請書を記載する。
いかがでしょうか。
○ものづくり補助金「採択確率をアップする申請書作成講座」オンラインセミナー
ものづくり補助金の申請書作成方法については、以下のオンラインセミナーで詳細にご紹介しております。このセミナーは、オンデマンド形式による動画解説と、ダウンロードによる申請書作成用オリジナル資料(申請書雛ひな型、事業計画検討用ワークシート、申請書チェックリスト)で構成されております。
セミナーおよび資料は、ものづくり補助金の公募要領に合わせてアップデートし、ご購入いただいた方には、2021年12月31日まで追加費用のご負担なくバージョンアップ版をご利用いただけます。
2021年実施予定の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)についても、公募要領や新しい情報が公表されましたら、随時アップデートしてご提供します。
ものづくり補助金の申請は2020年から電子申請に完全移行しました。これによって、以前は非常に複雑で手間がかかっていた申請手続きが簡素化、電子申請により申請時のミスも減るようになったことから、手続きについては専門家の支援を得ずとも個々の事業者様での実施が容易になりました。
意欲のある事業者様は、ものづくり補助金の申請において、専門家に高い支援料を払わずとも、ご自身での申請のハードルが下がって来ています。
このセミナーは、筆者自身が事業者として実際にものづくり補助金を申請、採択を受け、また、多くの事業者様のご支援をしてきた経験を踏まえて、事業者様ご自身が、申請書を作成いただくためのツールとしてご提供しています。また、動画セミナーでは実際に採択を受けたものづくり補助金の申請書事例もご紹介しています。
ぜひご活用ください。
本記事は、公開情報に基づき、筆者の個人的意見を交えて記述しています。筆者および運営会社は当記事内容の完全性を保証するものではありません。公募申請等に際しては、必ず事務局発表の最新情報をご確認くださいますようにお願いします。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
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