この記事は、2025年も「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」が実施されることを前提として、その準備について解説するものです。

記事は記載時点の情報に基づく筆者の私見です。筆者および補助金ナビ運営者は、ものづくり補助金および小規模事業者持続化補助金の2025年の実施や、記事内容の信憑性等について、何ら保証するものでも責任を持つものでもございません。補助金のご検討、応募申請等のご判断は、皆様のご自身の責任でお願いします。

この記事(リスクが高い「申請代行サービス」の利用)のポイント

○代行申請を使って申請した事業者が不正行為として指摘を受ける事例が発生
 代行申請を受注した業者が、類似した内容の申請を複数行ったり、同一の端末から申請を繰り返したりしたことで、代行申請を依頼した事業者の申請が採択を受けられなかったり、詳細な調査を受けるという事例が発生

○代理申請の排除が公募要領に明記
 ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金の公募要領に、代理申請は不正行為であることが明記され、事業計画は事業者自身で作成すること、および極めて類似した内容の事業の申請は採択されない旨、記載

○代行業者に任せることの問題点
 代行業者に依頼したことや、類似した内容の計画を申請したことの責任は申請した事業者様に及びます

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事業計画作成と申請は必ず事業者様自身で行いましょう。

2020年~2023年まで、ものづくり補助金および小規模事業者持続化補助金が通年公募として実施され、また2021年から事業再構築補助金が実施されるなど、中小企業や小規模事業者向けに事業計画書を提出して審査を受ける形式の補助金に多くの予算が投入されました。

補助事業が活発になるに連れ、「申請代行」を謳った業者が多く現れ、WEBサイトでは「成功報酬のみでOK」、「高採択率」、「全てお任せください」といった文言で勧誘を行っている業者が多々存在します。

 代行申請を受注した業者が、類似した内容の申請を複数行ったり、同一の端末から申請を繰り返したりしたことで、代行申請を依頼した事業者の申請が採択を受けられなかったり、詳細な調査を受けるという事例が発生しています。

 ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金では、事業計画書の作成や応募申請を、事業者自身が行わずに他者に任せる行為は禁止されています。発覚した場合は、採択されないだけではなく、次回以降の申請ができないなどの処分対象になりますので、ご注意ください。

代理申請が問題になった具体的事例

 ものづくり補助金と同様に経済産業省の予算で実施された事業再構築補助金では、応募申請の審査時に代理申請に該当するとして、以下の通り、公募要領違反として審査対象外とした事実が公表されています。

・第10回公募の申請案件について、アクセス解析の結果、特定の認定支援機関(大阪府)の支援先において代理申請が疑われる申請が確認されました。該当する申請は公募要領違反として、審査対象外としております。

・公募要領に記載があるとおり、本補助金は事業計画書を事業者自身にて作成、申請していただく必要があり、代理申請については公募要領に反する行為として採択取消等の対応をさせていただく恐れがあります。

・第11回公募の申請案件についてアクセス解析を行った結果、複数の案件が同一端末を用いて申請されている可能性があることが判明しました。該当する事業者様には個別にメールを差し上げご事情を伺いますので、どのような状況で申請を行ったのか、メールへのご返信を以て確認させていただきます。採否につきましてはご返信の内容を踏まえ、公募要領に記載があるとおり外部有識者からなる審査委員会が評価し決定いたします。

かかる状況を踏まえて、申請内容の重複や類似を、AIを用いてチェックする体制を整えたとの情報も伝えられています。

ものづくり補助金および小規模事業者持続化補助金の公募要領には、代理申請や計画内容の重複について、以下の記載があります。

 

ものづくり補助金公募要領の記載

【注意事項】
 本事業の申請は、電子申請システムのみで受け付けます。入力については、申請者自身が電子申請システム操作マニュアルに従って作業してください。入力情報については、必ず申請者自身がその内容を理解、確認をしたうえで申請してください。代理申請はGビズID利用規約の第10条禁止事項に当たり、不正アクセスとなるため、一切認められず、当該申請は不採択となる上、以後の公募において申請を受け付けないことがあります。

 本事業は、中小企業・小規模事業者自身の経営力を高め、事業計画期間にわたって生産性を高めることを支援するものです。このため、事業計画は必ず申請者自身で作成いただくとともに、事業の実行に責任を持って取り組んでいただく必要があります。

【補助対象外となる事業者】
■計画重複
 他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の事業を申請する事業者(は、対象外です。)

※1 他者の事業計画を流用したり、他者に流用されたりしないようご注意ください。

※2 他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を申請した場合、1回目は次回公募の申請不可、2回目以降は次回と次々回の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意下さい。

※3 事業計画書作成支援者が故意又は重過失により、他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業による申請を主導した場合、次回以降の公募では、当該事業計画書作成支援者が関与した申請を受け付けられない可能性がございますので、十分ご注意ください。

小規模事業者持続化補助金公募要領の記載

【申請方法】

 申請は、電子申請システムでのみ受け付けます。入力は、申請者自身が、申請システム操作手引き等に従い行ってください。入力情報については、必ず申請者自身がその内容を理解、確認してください 。 代理申請は不正アクセスとなるため、一切認められず、当該申請は不採択となる上、以後の公募において申請を受け付けないことがあります。

【重要説明事項】

 本補助金事業は、小規模事業者等が自ら自社の経営を見つめ直し、経営計画を作成した上で行う販路開拓の取組を支援するものです。外部のアドバイスを受けること自体は問題ありませんが、事業者自らが検討しているような記載が見られない場合や、自らが検討していなかったことが発覚した場合、本補助金の趣旨に沿わない提案と捉えられ、評価に関わらず不採択となります。 

代行業者に任せることの問題点

1.業者が作成した事業計画が、他の事業者の申請内容と同一、あるいは類似した内容の場合、事業者様自身がそのことを全く知らなかったとしても、他者と類似した内容の計画を申請したことの責任は申請した事業者様にあります。

2.代行申請は、Jgramts規約、公募要領記載に関する違反行為として、採択されず、また、採択取消や次回以降の申請不可などの処分を受ける可能性があります。

3.虚偽の申請(事業計画書に事実と異なる記載)となるリスクがあります。

4.採択を受けた事業者は、申請した事業計画を実施する必要があります。申請内容が事業者が実施したい事業とは異なる内容となるリスクがあります。

5.事業者が申請内容を理解しておらず、交付申請以降、事業者主体で補助事業を実施できない可能性があります。(事務局とのやりとりは全て事業者様自身で行う必要があります。)

 代行申請業者の利用にはこのようなリスクがあります。

 補助金申請においては、申請主体はあくまでも事業者様であり、事業者様の責任において事業計画の作成、申請、補助事業の実施を行う必要があることを良くご理解いただき、「代行申請」を謳う事業者には依頼をしないようにご注意ください。

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9)採択確率を高める事業計画書作成方法とは

2025年対応「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」準備講座

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補助金のご検討や応募等に際しては、公的機関などからの正式情報をご確認の上で、ご自身の責任、ご判断にてお願い致します。
オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明