新事業進出補助金第2回公募が開始されました。第1回公募との主な変更点をお知らせするとともに、当補助金に応募を検討されている事業者様に注意点などをお伝えいたします。
公募要領の記載に関して、補助対象者、補助対象事業(要件、補助上限額、補助率、補助事業期間 他)、補助対象経費、応募手続き、については、文章表現の変更や事例の追加等はありますが、申請に関して本質的な変更はありません。
応募申請を検討されている事業者様が、抑えておいた方が良いと思われる点を以下に列挙します。
「5.補助対象事業の要件」への追記等
●「5-1.補助対象要件」の「(1) 新事業進出要件」に以下の例が追加
○「①製品等の新規性要件」
【製品等の新規性要件に該当しない例】
・既存の製品等の製造量又は提供量を増大させる場合
・過去に製造していた製品等を再製造等する場合
・単に既存の製品等の製造方法を変更する場合
・製品等の性能が定量的に計測できる場合に、その性能が有意に異なるとは認められない場合
○「②市場の新規性要件」
【市場の新規性要件に該当しない例】
・既存の製品等と対象とする市場が同一である場合(既存の製品等の需要が新製品等の需要で代替される場
合・単なるメニューの追加と考えられる場合)
・既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものである場合
・既存の製品等が対象であって、単に商圏が異なるものである場合
○補助金ナビコメント
⇒ 各要件に該当しない事業に関する質問や申請等が多かったことから追記されたものと思われます。
新事業進出補助金では、製品等の新規性要件、市場の新規性要件が厳しく問われることにご注意ください。
●「5-1.補助対象要件」の「(4) 事業場内最賃水準要件」に以下の記載が追加
・事業計画上、複数の事業実施場所がある場合は、主たる事業実施場所を選択いただきます。
○補助金ナビコメント
⇒ 基準を明文化したものです。
●「(5) ワークライフバランス要件」に以下の注記が追加
※「両立支援のひろば」では、一般事業主行動計画のサイト公表申請の審査状況に関する問合せは受け付けておらず、問合せをいただいてもサイトへの公表手続きを早めることはできません。
公表申請の審査過程で不部が発覚する場合もありますので、2週間以上の余裕をもって公表申請を行ってください。
○補助金ナビコメント
⇒ 「一般事業主行動計画は、応募申請時までに公表されている」ことが要件ですので、新事業進出補助金への応募を検討されている事業者様は、早期に行動計画を策定し申請されることをお奨めします。
公募要領の記載のうち、「事業計画の概要」および「審査項目」に関しては、申請する事業計画書の記載内容に関わる変更点がありますので、ご注意ください。
「8.事業計画作成の概要」の変更点等
●「8-1.事業計画の記載内容」「(1)既存事業の内容」「① 申請者の概要」について
○第2回公募要領では「簡潔に」との表現が削除されています
第1回:自社の概要や現在行っている事業等について簡潔に記載してください。
第2回:自社の概要や現在行っている事業等について記載してください。
○補助金ナビコメント
⇒この変更と併せて「(4)現状分析」の「① 現在の事業の状況について説明してください。」が削除されたことから、現在の事業の状況については、当項目に記載することに集約されています。
●「8-1.事業計画の記載内容」「(2)補助事業の具体的取組内容」の「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」の記載変更
○「製品等の新規性要件」
第1回:既存製品等と新製品等の内容を記載をしたうえで、それらの相違点について具体的に記載してください。
第2回:既存製品等と新製品等の内容を記載をした上で、過去に製造した実績がない製品の製造等に取り組むことが分かるよう、それらの相違点を具体的かつ網羅的に記載してください。
○「市場の新規性要件」
第1回:既存市場(顧客)と新市場(顧客)の内容を記載したうえで、それらの相違点について具体的に記載してください。
第2回:既存市場(顧客)と新市場(顧客)の内容を記載した上で、既存事業と新規事業の顧客層が異なることが分かるよう、それらの相違点について具体的かつ網羅的に記載してください。
○補助金ナビコメント
⇒ 「5-1.補助対象要件」の「(1) 新事業進出要件」に関する例の追記と同様に、新事業進出補助金では、製品等の新規性要件、市場の新規性要件が厳しく問われることを明確にするために、変更されたものと考えられます。ご注意ください。
●「8-1.事業計画の記載内容」の「(4)現状分析」
○ 「① 現在の事業の状況について説明してください。」が削除されました。
○補助金ナビコメント
⇒「8-1.事業計画の記載内容」「(1)既存事業の内容」「① 申請者の概要」についての欄に記載するように変更されました。
●「8-1.事業計画の記載内容」の「(5)新規事業の新市場性・高付加価値性」「② 高付加価値性」の変更等
○ 「新製品等の属するジャンル・分野について記載してください。」が追加
○補助金ナビコメント
⇒「新製品等の属するジャンル・分野について」の記載と、自社や自社製品等の評価が混在することを避ける為に、項目が新設されたものと思われます。
○以下の記載が変更
第1回:新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであることを、高付加価値化・高価格化の源泉となる自社の価値・強みの分析とともに、説明してください。
第2回:新製品等の属するジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高い付加価値化や高価格を実現するものであることを、自社の強みや独自の価値を分析しながら、説明してください。
○補助金ナビコメント
⇒上の項目追加も踏まえ、記載内容をより明確化するための変更の様です。
●「8-1.事業計画の記載内容」の(6)新規事業の有望度
○以下の記載を含む「② 参入可能性」全体が削除
・ 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であることについて説明してください。
○補助金ナビコメント
⇒第1回では、審査項目「新規事業の有望度」に「参入可能性」がありましたが、「参入可能性」は必ずしも「新規事業の有望度」につながらないことから削除されたものと思われます。これにより、記載内容からも削除されました。
○「② 競合分析」の記載変更
第1回:競合分析を実施した上で、顧客ニーズを基に、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能であることについて説明してください。
第2回:競合分析を行い、顧客ニーズに基づいて、自社が競合他社と比較して明確な優位性を持つことについて説明してください。
○補助金ナビコメント
⇒「優位性を確立する差別化が可能であることについて」から「明確な優位性を持つことについて」と、可能性ではなく事実に基づく評価を記載するように求められています。
●「(7)事業の実現可能性」の「① 課題及びスケジュール」
○以下の記載変更
第1回:補助事業の事業化に向けた中長期での課題及び、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法について説明してください。
第2回:補助事業の事業化に向けた中長期的な課題及び、それらの課題を克服し事業化を実現するための遂行方法、スケジュールや課題解決方法について説明してください。
○補助金ナビコメント
⇒当然のことですが、課題を記載した上で、その課題の克服方法について、記載することが明記されました。
●「8-1.事業計画の記載内容」の「(9)政策面」に以下の点が追加
○② 米国の関税措置による影響を受けている又は影響を受けることが具体的に見込まれている場合、影響の内容を具体的に記載してください。【任意】
○補助金ナビコメント
⇒政府の中小企業施策として、米国関税措置による影響を受ける場合に補助金にて考慮することとされています。
●「8-1.事業計画の記載内容」の(11)収益計画の「① 補助事業の事業化見込み」
○以下の記載変更
第1回:収益計画表を作成したうえで、補助事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について記載してください。
第2回:収益計画表を作成したうえで、補助事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について、算出根拠を具体的に記載してください。
○補助金ナビコメント
⇒当然ですが、収益計画や事業化見込みの算出根拠を具体的に記載することが明記されました。
「10.審査項目」の変更点等
●「10-1.書面審査」の「(2)新規事業の新市場性・高付加価値性」の変更等
○「② 同一のジャンル・分野の中で、当該新製品等が、高水準の高付加価値化・高価格化を図るものであるか。」に以下の注釈が追記
※ 補助事業で取り組む事業の内容が、新事業進出指針に基づく当該事業者にとっての新規事業であることを前提に、新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値等と比較して、高水準の高付加価値化を図るものであることを求めます。
○補助金ナビコメント
⇒「高付加価値化」を選択した場合でも、「新事業進出指針に基づく当該事業者にとっての新規事業」であることが前提であり、「高水準の高付加価値化を図る」ことが要件であることから、注意喚起の意味で注釈が付記されたものと思われます。
●「10-1.書面審査」の「(3)新規事業の有望度」
○以下の項目が削除されました。
② 補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか。
・免許・許認可等の制度的な参入障壁をクリアできるか。
・ビジネスモデル上調達先の変更が起こりにくい事業ではないか。
○補助金ナビコメント
⇒「8.事業計画作成の概要」の変更点等にもコメントしましたが、「参入可能性」は必ずしも「新規事業の有望度」につながらないことから削除されたものと思われます。
●「10-1.書面審査」の「(4)事業の実現可能性」
○以下の項目が追記
③ 事業経費や補助対象経費が真に事業目的の達成のために必要な額か。
○補助金ナビコメント
⇒第1回公募において、事業目的の達成のために必ずしも必要とは判断されないような補助対象経費が含まれる申請が一定数以上存在したために、このような記載が追加された可能性があります。
新事業進出補助金(第2回)公募要領の改訂の全体像のまとめと、そこから推測できる点については以下の通りです。
改訂全般に関する補助金ナビからのコメント
○新事業進出補助金第1回公募締切(2025年7月15日)から約2ヵ月経過して第2回の公募要領が公開されたことから、この公募要領は第1回公募の申請状況とその内容を踏まえて改訂されたものと考えられます。
○第2回公募の公募要領の前回からの改訂内容は、これまでの記載内容をより詳細化したり、新事業進出指針の内容に触れたり、注意喚起を促したりしているものが多いように思われます。
○新事業進出補助金については、公募要領以外に「新事業進出指針」があり、その解説として「新事業進出指針の手引き」や「新市場・高付加価値化事業の考え方」が公開されています。公募要領も含めてこれらを熟読することで事業計画に求められる内容が理解できるようになっていますが、第1回の申請内容にはこれらの資料の読み込み不足と思われるものが多く存在したのでは無いでしょうか。
○記載内容の具体性や根拠の明記についての追記や、審査項目に申請経費内容についての注意喚起的な項目が追加されていることからも、第1回において申請された事業計画内容にて記載が不十分なものが多かったことが考えられます。
○新事業進出補助金は、電子申請画面にて、極めて細かく細分化された事業計画内容を記載する必要があることから、申請に手間がかかります。これまで違法な代行申請を行ったきた業者が関与しづらくなり、支援業務から締め出されたと言われています。また、申請時に支援をしてきた支援者が支援しづらくなったことから、過去の補助金に比べて申請件数の減少や申請レベルの低下につながっていることが考えられます。
○この点は、要件を満たす事業計画を策定、的確に申請ができる事業者様にとっては、チャンスであるとも言えます。
○新事業進出補助金の申請を検査されている事業者様は、要件を十分に確認の上で、時間をかけて事業計画内容をブラッシュアップされ、受付開始に備えることをお奨めします。
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オフィスマツナガ行政書士事務所(認定経営革新等支援機関)所長・行政書士 松永敏明
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