「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その2)
最近、小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)についてご質問いただくことが増えました。
コロナ特別対応型は、一般型に比べて補助金の上限が2倍(50万円→100万円)となり、また、申請書類が簡素化されたにも関わらず、第一次締切の採択率が80%を超える高い確率だったことから、とても注目を集めているようです。
しかしながら予算には枠がありますので、必ずしもこの高い採択率が、今後の締切でも維持されるとは限りません。
今後、小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)に申請をされる方は、少しでも採択の確率を高める工夫をした方が良いと筆者は考えます。特に、締切まで時間的な余裕がある場合は、申請書をブラッシュアップして、審査で高い評価を得られるよう、申請書の質を高めることをお勧めします。
尚、こ の記事は筆者の全くの私見ですので、あくまで「参考」にとどめていただき、応募や申請書記載内容についての判断は、事業者様ご自身でお願い致します。
この記事では、公表されている記載例について分析をした上で、最大5ページとされている<計画の内容>について、何をどの程度記載すべきかを考えてみました。
尚、この記事の前半は、以下に記載をしましたのでご覧ください。
「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その1)
○公表されている記載例について
・小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)の記載例
料亭が新型コロナ感染症の影響により客足が激減し、新たな顧客層を求めて、新商品開発とインターネット通販を強化するという事例です。この事例は、文章部分(計画の内容)は2ページで簡潔に記載されています。
・小規模事業者持続化補助金(一般型)の記載例
こちらについては、数年前から同じ事例(国道沿いの海鮮居酒屋)が公表されています。こちらは、高齢化/過疎化により居酒屋の常連客が激減、周囲の単価の安いチェーン店等に客を取られた店が、新たな商品開発とデリバリーによる商圏拡大に活路を見い出すという事例です。こちらも文章部分は、2ページ半程度にまとめられています。
補助金の審査は、記載された分量で評価される訳ではありません。記載内容が公募要領の「審査項目」を満たし、高い評価が得られるものであれば問題はありません。
「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その1)の「○対策2(具体的方法1):「経営計画書はどのように書くべきか」に書いた内容が満たされていれば2ページでも十分です。
但し、事業内容によっては、少ない文章量で事業内容や強み等を表現することが難しい場合があります。また、図表を加えて説明した方が、理解が促進することも多いことも事実です。私のこれまでの経験では、小規模事業者持続化補助金の申請書(経営計画、補助計画)を2ページで簡潔にまとめることはなかなか難しいと考ています。
私は、小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)の記載量について意見を求められた時には、「5ページを有効に使い、審査員に十分にアピールする申請書を作成しましょう。」とお話をしています。もちろん、ダラダラと書けば良いというものではありません。冗長な文章を書くよりは、ページ数が少なくとも簡潔にまとめられている方が良いことは間違いありません。
ところで、何故、記載例はどちらも飲食関連なのでしょうか?
この理由は、以下によるものと考えられます。
・小規模なオーナー経営の飲食店のビジネスモデルは、誰にとっても理解し易いこと。
・店内飲食がコロナ禍により大幅な影響を受けていることがわかり易いこと。
・コロナ禍の影響を受けた飲食店の多くが、テイクアウト、デリバリーや通販などに活路を見出そうとしていることは誰でもが知っている事実であることから、簡単な説明でもも理解し易いこと。
・実際、事例に書かれている対策は既知のものであり、誰が見ても明確であること。
公表されている記載例には、書くべき項目も網羅されていますので、2ページ程度の記載でも審査項目が満たされ、審査員に十分に伝わる内容となっていると考えられます。
○記載時に注意すべき点
一方で、多くの事業では、小規模事業者とはいえビジネスモデルが複雑な事業も多いのも現実です。
その為、自社のビジネスモデルについて詳しい説明をしないと、事業の構造が伝わらないことも多いように思います。記載が必要なのは、例えば以下のような内容です。
・お客様は誰か、売上利益の源泉は何か?
・同業他社と比べた特徴は?
・集客方法は?
・集客がすぐに売上につながるのか? そうで無い場合は、集客した上で何をすることもが売上につながるのか?
・なぜ顧客は自社や自社のサービスを選ぶのか?
・そういう中で、コロナ感染症の影響による影響がどのように現れているのか?
・今回の対策で、売上/収益は上がるのか? この危機を乗り越えることができるのか?
そして、対策の内容と効果についても、事業内容を知らない人には、理解が難しいことも多いです。
これらの点を説明してゆくと、どうしてもある程度の文章量が必要となりますし、読み手の理解を促進するために図表を挿入したり、読み易くするために、段落や項番を付与したりすることも必要となります。その為、ある程度のページ数が必要となります。
小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)の<計画の内容>の各欄毎の記載すべき内容については、「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その1)に記載しましたので、そちらも併せてご確認ください。
最後になりますが、小規模事業者持続化補助金の審査に関しては次のように言われています。また、私の経験からも同様に考えています。
「審査員は、申請者の事業について必ずしも精通しているとは限りません。」
「事業計画を審査する専門家ではあるものの、当該業務について素人の場合もあります。」
「専門用語、業界用語等は使わずに、中高生でもわかるように、わかり易く書きましょう。」
「審査は短期間、短時間で行われるようですので、簡潔に、読みやすく、わかり易い記述であることが必要です。」
せっかく応募するのであれば、中途半端に妥協をせずに、記述と推敲を繰り返し申請書をブラッシュアップし、採択の確率を高めるように努力をしたいものです。
掲載したニュース等の内容は正確を期すように努めておりますが、その内容について正確性を保証するものではありません。また、筆者の個人的な見解が多く含まれています。補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
筆者:オフィスマツナガ行政書士事務所 所長 認定経営革新等支援機関 松永敏明
無料動画セミナー:小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)概説/記載例概説
「小規模事業者持続化補助金」についてのニュースは、こちらでご紹介しています。
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