小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠>(第1回締切)採択率は、44.9%!

 

2021年7月2日、小規模事業者持続化補助金 <低感染リスク型ビジネス枠>(第1回締切)の採択発表がありました。

応募件数は、7,827件、採択数 3,512件、採択率は44.9%でした。

小規模事業者持続化補助金としては、やや厳しい採択率でしたので、この結果を検証、分析してみましょう。

先ずは予算枠についてです。

2021年に実施されている <低感染リスク型ビジネス枠>は、ものづくり補助金、IT導入補助金の3補助金を合計で、2,300億円です。

昨年の3補助金の特別枠(小規模事業者持続化補助金では「コロナ特別対応型」)の予算は、1000億円(事業再開枠を合わせても1700億円)でしたので、これに比べて2倍の予算です。

予算は昨年より上回るため高い採択率が予想されていましたが、今回の採択率(44.9%)は、昨年実施のコロナ特別対応型の最終回(38.2%)よりは高かったものの、さほど高くはなりませんでした。

この採択率は、過去数年に実施された小規模事業者持続化補助金の中でも低い方です。

○応募数の少なさもは驚かされます。

昨年実施のコロナ特別対応型では、合計5回の締切に対して、合計164,000件(平均約33,000件)と非常に多くの応募がありました。

第4次と第5次締切の不採択数は、合わせ、約32,000件にものぼりましたので、このうちかなりの数が、2021年の低感染リスク型に応募するのでないかと見られていました。(筆者もそのように考えていました。)

ですが、応募者数は、7,827件と、昨年のコロナ特別対応型の1回あたり平均の4分の1以下でした。

これらの結果となった理由と、今後、応募が考えるべき事項について検討します。

以下に2020年から実施されている小規模事業者持続化補助金の公募・応募状況、採択率の推移を掲載します。

小規模事業者持続化補助金

○応募者が少なかった理由

応募者数が少なかった理由は、いくつか考えられます。

 1)対象事業の要件が厳しくなった

2020年実施のコロナ特別対応型では

「A:サプライチェーンの毀損への対応」、「B:非対面型ビジネスモデルへの転換」、「C:テレワーク環境の整備」の、いずれか一つ以上の投資に取り組み、補助対象経費の6分の1以上をこれらの為に投資すること

が要件でした。

それに対して、2021年実施の低感染リスク型ビジネス枠では、

ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行い、全ての経費(感染防止費用を除く)を新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等の取り組みのために使用すること

が要件とされています。

かなりハードルが高いですよね。

 2)地域の商工会/商工会議所の関与が弱い?

2020年実施のコロナ特別対応型では、地域の商工会/商工会議所が事務局となっていましたが、今回はやや異なっています。
申請事務局は、全国商工会連合会となっています、地域の商工会/商工会議所では、申請書作成の相談に乗っては貰えるようですが、あまり積極的には動いていない地域もあるようです。

3)コロナ特別対応型で採択・交付決定を受けた事業者は対象外

2021年実施の低感染リスク型ビジネス枠には、2020年実施のコロナ特別対応型で採択・交付決定を受けた事業者は対象外です。

これまで、小規模事業者持続化補助金に積極的に応募してきた事業者は応募ができなくなっています。

但し、2020年実施のコロナ特別対応型で発生したいた、多くの不採択の方については、この理由には該当しないと考えられます。

4)全額補助の事業再開枠が無くなった

2020年実施のコロナ特別対応型で実施された50万円までの全額補助の事業再開枠が廃止された。感染防止費用も低感染リスク型ビジネス枠の100万円の範囲内で補助率3/4で実施されています。

もっとも、同様に事業再開枠が廃止された一般枠では、ここまでの応募者数の落ち込みは見られませんので、こちらは大きな原因ではないかもしれません。

また、電子申請のトラブルがあったようですが、影響は不明です。

やはり、「1) の 対象事業の要件」が、最大の原因ではないのでしょうか。

○採択率の低さ

通例では、応募数が少ない時は、採択率が上がる方向へ動きますが、今回はそのようになっていません。

これは、ここのところ「予算ありきで採択はしない」との話が多く聞かれます。

予算があるのに、採択数が少ないということは、提出された申請書(事業計画書)が、採択されるレベルに達していないものが多かったということでしょう。

また、応募した中に、前述の「対象事業の要件」を満たさなかったものも、ある程度あったと考ええれます。

○応募される方が考えるべき事項

ポイントは2つです。

「要件のクリア」と「審査項目に合致する計画書の作成」です。

1)対象事業要件のクリア

要件は、前述の通り、

ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行い、

全ての経費(感染防止費用を除く)を新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等の取り組みのために使用すること

となっています。

補助金獲得のために、これまでの事業とは全く異なるビジネスの計画を作るのは本末転倒ですが、既存の事業を発展された形で、新たなビジネスを考えることもできますので、いろいろとアイディアを膨らませてみましょう。一人で考えていてもなかなか良いアイディアが出ないときは、複数の方とディスカッションしてみるのも良いでしょう。

2)審査項目に合致する計画書の作成

審査項目を満たす事業計画書作成のために、各欄毎に記入すべき内容を以下に記載します。

○自社の事業概要
・一読しただけで、審査員が事業内容、ビジネスモデル、特徴、強み等を理解できること
・顧客は誰か、市場や商圏について説明し、その動向についても記載
・ビジネスモデルの特徴や売上及び粗利がなにによって生じているのかをわかり易く説明
・他社と比べた自社の強みなども説明し、それを生かすことで、事業継続が可能なことを説明
・現在の状況を踏まえて、今後の経営にどのような方針で望むのか

○新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策
・新型コロナウイルス感染症により、ビジネスモデルのどの部分がどのように被害を受けたのか
・それによってどれだけの売上や利益が減少しているのか
・影響を克服すべくどのように取り組んできたのか?

○補助事業の内容
・補助事業期間中に何をどのように実現するのか。その為のどのような投資、対策経費が必要になるのか
・その取組みは、事業者の経験、ノウハウ、強みを活かしたものか
・その取組みは、売上・利益に資するものか
・当該部分を復旧するための方法として、A,B,Cのうちどれを採用するのか

○補助事業の効果
・売上増加(回復)効果(事業期間終了後1年以内に売上につながること)
・その根拠
・費用(投資)対する効果など

以下の記事もご覧ください。

「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その1)

「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)、記載例と記載分量について」(その2)

「小規模事業者持続化補助金」一般型(第4回締切分)は、44.2%とやや厳しい採択率となりました

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