小規模事業者持続化補助金の採択率について(その2)

今年(2020年)、これまで公募、採択された小規模事業者持続化補助金の日程、応募件数、採択件数等は以下の通りでした。

○一般型:

公募開始 3月10日
一次締切日 3月31日(消印有効)
一次締切日までの期間:21日間
応募件数 8,044件
採択件数 7,308件
採択率 90.9%

【2次締切】

応募件数 19,154件
採択件数 12,478件
採択率 65.1%

○コロナ特別対応型:
【1次締切】

公募開始 4月28日
一次締切日 5月15日(必着)
一次締切日までの期間:17日間
応募件数 6,744件
採択件数 5,503件
採択率 81.6%

【2次締切】

応募件数 24,380件
採択件数 19,833件
採択率 81.3%

過去の小規模事業者持続化補助金の、公募日程、応募者数、採択者数、および採択率は、「小規模事業者持続化補助金の採択率について(その1)」をご覧ください。

小規模事業者持続化補助金では、応募申請前に地域の商工会/商工会議所での事前確認が必要となる為、どちらの日程も、申請される方にとっては厳しい日程でした。

2020年3月中旬~下旬は、都知事のロックダウン発言もあり、日本中が落ち着かない騒然とした状況にありました。このような時期に、また、このような短期間の募集期間にも関わらず、一般型の一次締切に8千件の応募があったことは注目に値します。

更に、コロナ特別対応型の公募期間は、全国緊急事態宣言下の外出自粛期間中であり、また、ゴールデンウィークを含んでいることから、営業日数は僅か数日という日程でした。このコロナ特別対応型の一次締切で、7千件近い応募があったのは驚異的な数字に思えます。

コロナ特別対応型は、補助金上限が100万円+事業再開枠(感染症防止対策費、定額補助)最大50万円、しかも、申請書式が一般型よりも簡易ということで、今後、二次締切、三次締切では、応募数の大幅な増加が想定されます。6月5日締切の応募件数はかなり増加したと言われています。

応募件数が増加しても予算枠に変更が無いのであれば、締切一回あたりの採択者数が限定され、採択率が下がる(競争率が上がる)ことになります。もちろん、新型コロナ感染症を乗り越えて事業を行う事業者を支援するのが主旨ですので、応募状況によっては、予算が追加される可能性もあると考えています。

また、一般型も、事業再開枠(感染症防止対策費、定額補助)最大50万円が上乗せされたことにより、魅力が増しています

小規模事業者持続化補助金(一般型)では、3年間10回の締切に対して、10万社の採択を予定とされていますので、平均すれば1回の締切あたりの採択者数は1万件となります。また、中小企業生産性推進革命推進事業特別枠(1年分)の予算は、現時点では、通常枠(3年分)の予算の1/5~1/4ですので、予算を各補助金に単純比例配分するのであれば、小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)の締切1回あたり採択者数は、5千件~6千件程度という件数が算出されます。この値が実際の想定採択者数に近いのであれば、応募者数がこの数値を大きく上回った場合は採択率が大きく下がることも想定されます。(2020/7/23筆者注記 コロナ特別対応型の1次および2次の採択者合計は約2万5千件となっていますので、4次締切までの採択件数は筆者の予想を大幅に超える件数となりそうです。)

過去の小規模事業者持続化補助金では、1年間の締切回数は1回あるいは2回であり(3回の年が1年だけあった)、「通年公募」となった今年の応募件数を、過去の当補助金の事例から予測することは難しいように思われます。

比較的似た事例として、2013年に実施された創業補助金の例がありますので、見てみましょう。

【平成24年度補正(2013年実施)創業補助金の公募、締切、応募件数、採択件数実績】

小規模事業者持続化補助金 創業補助金実績
(補助金ナビ調べ:なるべく正確な情報収集・発信を心がけていますが、運営会社および筆者は情報の正確性を保証するものではありません。)

公募開始当初は、知名度が低かったこの補助金も、採択率(80%以上)の高さが注目を集め、公募を重ねるにつれ人気化し、最終締切の採択率は20%台、かなりの難関の補助金となりました。

今年の、小規模事業者持続化補助金(特に、コロナ特別対応型)は、現在、注目度が高まっていることとから、応募件数は、(2013年実施)創業補助金のような増加傾向を辿ることも考えられます。

この動向は、6月5日締切の二次締切の採択発表(8月中と公表されています)にて判明することになります。

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掲載したニュース等の内容は正確を期すように努めておりますが、その内容について正確性を保証するものではありません。また、筆者の個人的な見解が多く含まれています。補助金の応募等に際しては、公募要領をご確認の上で、ご自身のご判断にてお願い致します。
筆者:オフィスマツナガ行政書士事務所 所長 認定経営革新等支援機関 松永敏明

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